2019/06/04身の回りの『あるもの』が、実は海に害を与えている!?

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直矢山住一般社団法人CPP理事

神戸学院大学を休学し、現在は一般社団法人CPPの理事に就任。

海が抱えている深刻な問題

約20万種類もの生物が生息する海で、今、「あるもの」によって海洋生物たちは危機的状況に陥っています。それは「プラスチックゴミ」です。
海で漂流しているプラスチックを海洋生物たちが誤食してしまい、呼吸や消化がうまくできずに死んでしまうことが起きています。
それだけではなく、海に漂流するプラスチックゴミは、長い期間を経て、5m以下まで分解されていき、「マイクロプラスチック」になります。この「マイクロプラスチック」は有害物質を吸収しやすい特性を持っています。そして、それを摂取した生物たちはどんどん汚染されていくことになります。しかも、回収手段がないことが、問題解決の大きな障害となっています。
毎年、プラスチックゴミが海に流れ込んでいる量は推定で約800万トン、全体のゴミの総量は1億トンといわれています。ですが現状、海にどのくらいの量のプラスチックが放流されていて、どのくらいの量が存在しているのか、はっきりわかっていません。
そのプラスチックゴミが、海の生態系を壊しつつあり、私たちの住む環境も脅かしています。最近ではニュースでも取り上げられ、今では国際的な環境問題として、世界各国は深刻な問題として受け止めています

マイクロプラスチックの主な発生原因

https://free-materials.com/

海洋ゴミの約8割はプラスチックゴミが占めています。その中でも、1度使ったら捨ててしまう「使い捨てプラスチック」が大半を占めます。そのゴミが海を漂流し、長い年月をかけて分解されていき、やがて「マイクロプラスチック」になります。洗顔料や歯ブラシなどに含まれる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックもまた下水処理場で処理できず、そのまま海に流れ込んでしまい「マイクロプラスチック」となってしまいます。
その他にも自動車のタイヤのカスや化学繊維の服、ありとあらゆる場所でマイクロプラスチックは発生しています。
この「マイクロプラスチック」は添加物など多く含まれるため有害物質を吸収してしまいます。それがいたるところで見つかっていて、生態系に悪影響を与えるのではないかと懸念されています。
ですが、今のところは生物や人間にどのような影響があるのか全く分かっていません。
そして、マイクロプラスチックは現状では処理は不可能で為す術がありません。なので、プラスチック自体を制限する動きが高まっています

取り組み・国内編

日本は、「一人当たりのプラスチックごみ排出量」世界2位ですが、今のところ国や自治体も規制をしているところはありません。カナダで開かれた主要7カ国首脳会議で『海のプラごみを減らすため、産業界と協力し、2030年までにすべてのプラスチックを再利用や回収可能なものにすることなどを目指す』とした「海洋プラスチック憲章」がまとまりました。
イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・カナダの5か国とEUは海洋プラスチック憲章に署名しましたが、日本とはこれに署名しませんでした。製造業や消費者に与える影響を考えて、すぐすぐは合意できないという結論に至ったようです。

取り組み・海外編

・スリランカのコロンボで道路側溝にプラスチックごみが詰まっていたことが原因で鉄砲水が発生してしまいました。これを受け、プラスチック製の袋,コップ,お皿の販売を禁止。
・インドのニューデリーでは、違法にプラスチックごみが燃やされ大気汚染がひどくなったことにより、プラスチック製の食器や袋などを禁止。
・ポルトガルでは、食料品店などで無料提供していたプラスチック袋に課税をしたことで,プラスチック袋の消費量を74%も減少させました。
・アメリカでは、国家レベルでプラスチック製のマイクロビーズの禁止を定めました。
シアトルとワシントンではレストランやカフェ等で使い捨てプラスチックが原則禁止
・オーストラリア、トルコでは一部店舗でレジ袋を廃止、有料化を実施。
・ジャマイカ政府は、2019年1月より使い捨てのレジ袋やプラスチックのストロー、発泡スチロール容器の使用を段階的に廃止していくことを発表。
 主に使い捨てプラスチックの消費率を下げることが目的のようです。

取り組み・国内企業編

・日本の大手日用品メーカー・花王は、プレステージ化粧品、全身洗浄料のごく一部に、マイクロプラスチックビーズに該当する成分を使用していました。ですが、2016年までに、それらのマイクロプラスチックビーズのすべては代替素材に切り替わりました。現在花王ではマイクロプラスチックを使用した商品は無いようです。

・化粧品メーカーの資生堂では、まだマイクロビーズの使用は続けているということですが、原料を完全に置換予定です。その他の地域の既発売の洗浄料については、商品特性などを考慮しながらも、2018年末までに切り替えを終了しました。今後も法規制の有無にかかわらず、環境リスク等を考慮して必要と判断した場合には、速やかに代替物質へ切り替えていく方針のようです。

取り組み・海外企業編

https://free-materials.com/

・世界最大手のファストフードチェーン・マクドナルドは、英国とアイルランドのすべての店舗でプラスチック製ストローの使用をやめ、紙製に変更することを発表しました。

・それに続きアメリカのコーヒーチェーン・スターバックスは、プラスチック製の使い捨てストローの使用をやめ、今後はストローを使う必要のないプラスチックのふたを提供するほか、紙製など非プラスチック製のストローの導入を、2020年までに世界中の店舗で実施する予定です。世界に2万8000カ所あるスターバックス店舗では、およそ10億本のプラスチック製ストローが毎年使用されている。

・デンマークに本拠地を置く子供向けおもちゃLEGOは、植物由来の材料で作られたレゴブロックの発売を発表しました。
材料として使用されるのは、サトウキビを原料とするバイオプラスチックで、このバイオプラスチックが使用されるのはレゴブロックの木、茂み、葉っぱなどの「植物」に限られるとのことです。ですが、LEGOの最終的な目標は、すべてのレゴブロックに植物由来の材料を使用することです。LEGO社は、2030年までに全てのレゴブロックを持続可能な材料に移行すると目標をかかげています。

今後の課題

https://free-materials.com/

プラスチックがリサイクルできない理由は、プラスチックの種類が多いことにあります。
それぞれに用途も性質も違うものを30種類くらい組み合わせて使用するために、いざリサイクルしようとして分解しても、元には戻らないのです。実際にリサイクルされているのは6%ほどだけで、残りは燃やされたり、海外に売られたりしているが実情です。

近年は、処理に困った先進国が輸出したゴミを、発展途上国は受け取りを拒否し、送り返す事例が増えています。これもやはり、ゴミの処理が難しいことが原因と考えられます。
プラスチックを処理することが出来ない限り、発生源を制限するしか今のところ解決手段がない状態です。ですが、ありとあらゆる場所でプラスチックが使用されており、今では生活には欠かせないものになってしまいました。規制が難しい今、今後はリサイクルの技術を上げることで海に流れ出すゴミとマイクロプラスチックの処理を可能にすることが、課題になっていきます。

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